2011/01/13

梶ヶ谷の家(2001)

昨日書いたチルチンびと別冊35「OMソーラーの家づくり」の中の「Iさんの家」は、竣工当時に新建築住宅特集2002年5月号に掲載されています。 

 



設計:石田信男設計事務所 石田信男 + 徳田英和
施工:広・佐藤工務店
竣工:2001年

1階は中央に通り土間を設け、玄関から靴を履いたまま庭に抜けられるようになっています。
通り土間右手は子世帯のスペース、左手は予備室、工作室、納戸、駐車場があります。
鉄骨階段を上って、2階はブリッジ右手が親世帯の広間、左手が親世帯の寝室、書斎、水まわりがあります。


この家は奥行が深めなのでハイサイドライトを設けました。そこで3角形の棟ダクトをイソシアヌレート板で製作して、イソシアヌレート板のアルミコーティング面をそのまま見せて、ハイサイドライトの光を反射させています。OMソーラーの家の設計の面白さは設備のデザインが建築のデザインでもあるところではないかと思います。棟ダクトが設備的な意味の他に建築的にも意味を持っているというところが面白いなぁと思ってやっています。



OMソーラーの家は普通の家より乾燥しやすいということがいわれています。
一般的には室内に観葉植物を置いてまめに水やりをしたり、室内に洗濯物を干すなど、生活の工夫でそれほど大きな問題はありませんが、この家では基礎スラブの立下りダクトの出口に加湿用のピットを設け、水を張り、OMの乾燥空気が水面をなめて加湿されてから床下空間に広がるようにしています。水が減ると自動で補充するようボールタップも設けています。
加湿用ピットはちゃんと掃除をしてもらえるようタイル張り、それも真っ白いタイルにして汚れが一目でわかるよう工夫しました。



構造的には石田事務所の得意とする国産小径木を使った板倉構法です。板倉構法は杉の60ミリの板を桧の21ミリ角の楔で縫った壁を作り、真壁の柱間に落とし込んで耐力壁にする構造です。
この家では野地板も壁と同様に杉の60ミリの板倉としています。
杉材は60ミリあると少し断熱性能がありますが、それだけでは足りないので外側に炭化コルク30ミリを入れて両方で断熱性能を十分なものにしています。

最後に、旧OM研究所(現自然エネルギー研究所)がやっていたOMフォーラムWEBで、アトリエフルカワ・古川泰司氏にこの家をレポートしていただいたディテールハントの連載がまだアーカイブに残っていたので、興味のある方はこちらもご覧ください。


梶ヶ谷の家1
梶ヶ谷の家2
梶ヶ谷の家3

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