2011/03/01

日比津の家2


昨年10月に「日比津の家2」が完成した。施工は阿部建設である。2006年に完成した私の実家が「日比津の家1」で、いずれまた紹介したいと考えているが、その実家を見て設計の依頼があった。

日比津は名古屋市のなかでも古い街で、敷地の区画も大きく、瓦屋根の大きな民家が建ち並んでいる。この家の敷地も、親世帯の住む母屋が築100年ほどの古民家であり、立派な庭を持つ。その母屋と庭を挟んで南側の敷地の一角に建てる、子世帯のための小住宅の計画である。

この街並みの中で考えたことは、なるべく大きなおおらかな屋根をつくること。大きなおおらかな屋根を作ることを設計の出発点として、そのおおらかな屋根が内部の生活の空間をはぐくむプランニングを考えた。それはもちろんソーラーれんの集熱屋根としても有効に働いている。

このあたりの民家は木目プリントの鉄板張りの外壁がなぜか多い。それが色あせてきてコールタールを塗った黒い外壁の家も多い。私も子供のころ父親とコールタールを塗った記憶がある。そんな記憶から黒いガルバリウム鋼板の角波としたのは自然な選択であった。「日比津の家1」も同様の外壁だが、うちの実家の影響かどうかはわからないが、周辺で黒いガルバリウム鋼板の家が数件できてなんだかちょっと嬉しい。


このあたりは2000年の東海豪雨で大きな被害はなかったが、すぐ近くで大きな被害が出ていることもあり、誰もがその恐怖感を持っている。それで主空間は少し高床にしている。ここでは南と東が道路に接しているのと、駐車場をなるべく確保したいという要望から、少し浮いた大きなデッキテラスを作った。セキュリティの面から閉鎖的な家が多くなりつつある中で、この道路レベルより少し浮いたデッキテラスを作ることで、道行く人の視線を少しずらすことができて、なるべく開かれた家になることを意図している。


昨年中に植栽工事も完了。植栽は「日比津の家1」でもお世話になったえいろく庭の小出さんにお願いした。もともと敷地のレベルは道路より50cmほど高く、土留めとしてフトンカゴを利用することで側面も緑化している。以前、地球のたまごの現場を担当していたときに、プランタゴの田瀬さんのフトンカゴを利用した巧みなランドスケープの手法に大いに影響を受けた。今回は予算も規模も限られているので、既製品のフトンカゴを利用した簡易的な土留めを試みてみた。フトンカゴの側面にはテイカカズラを植えてある。今後の緑化の進捗が楽しみである。

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