2014/06/01

目黒区総合庁舎(旧千代田生命本社ビル) 建築ガイドツアー

先週の金曜日、私の好きな建築家である村野藤吾さんが設計された千代田生命本社ビル、現在は用途変更されて目黒区総合庁舎として使われている建築を見学してきました。

区役所なのでほとんどの部分は一般に開放されていて誰でも見学することはできますが、毎年この時期に目黒区美術館主催のガイドツアーが開催されていて、ボランティアのガイドスタッフによる解説付きで案内していただけるツアーがあり、ガイドスタッフの一人である友人の若原一貴さんのお誘いで今回初めて参加してきました。




エントランスは流線型のキャノピーと、それを支えるランダムに立てられたステンレスの円柱。このうち何本かは雨どいになっている。同じくステンレスで作られた守衛所。足元は丸くして床との取り合いを馴染ませている。



外壁はテッセラという石片とアルミの鋳物による格子で構成されている。




エントランスホール。窓際には薄く水が張られて風景が写りこんでいる。アクリルのオブジェは村野さんのデザインで照明が仕込まれている。



村野さんは階段や手摺のデザインに並々ならぬエネルギーを注いだことでも知られているが、下から階段を見上げたときの上げ裏も丁寧にデザインされている。このやわらかい曲面の上げ裏は石膏で作られていて、関西から職人を連れてきて仕上げたとのこと。



村野さんは"something new"という考え方で、古い手法に捉われず、その時代の材料や技術を使った新しい建築を目指したという。その特徴が一番出ているのがこのお茶室。
屋根は銅管を半分に割って並べ、竹に見立てたものになっていたり、天井は籐を使った光天井となっている。



外壁と地面との取り合いは、エントランス同様曲面にして馴染ませている。



窓の格子や水切、パラペット、手摺など細かいディテールはどれもシンプルかつ品のあるデザイン。


高層棟との連絡ブリッジも執拗なまでにデザインされたという。エキスパンジョイントは電車の連結部に用いられる蛇腹が使用されていた。


最後に屋上からエントランスを見下ろす。

この見学ツアーはA,B,Cの3つのコースがあり、今回わたしが参加したのはAコースで建物全体を案内してくれるコースでした。来年は茶室を詳しく解説してくれるBコースに参加しようかなと考えています。
ガイドスタッフの方々の2次会にも参加させていただき、村野談義が尽きないお腹いっぱいの1日でした。その時に話題に出たのですが、村野さんの設計で名古屋にある「浪花組名古屋支店」について、3年前に私のブログで少し書いています。外観だけですが、写真もありますので興味のある方はご覧ください。↓

toku's LIFE GOES ON: 浪花組名古屋支店





おまけ。裏情報で、もともと裏口にあった守衛所が使われなくなり隣の駐車場に放置してあると聞いて見に行きました。なんてかわいらしい造形でしょうか。このままにしておくのはもったいないように思いました。





徳田英和
hidekazu.tokuda@gmail.com
徳田英和設計事務所
171-0031東京都豊島区目白3-8-6吉村ギャラリー2F
TEL 03-3954-6161 / FAX 03-3565-6079
http://tokuslifegoeson.blogspot.com/

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