2013/02/21

住宅建築 4月号 2013 奥村昭雄を分解する

昨日発売された住宅建築4月号は奥村先生の特集です。
設計された住宅4件の紹介の他、OMソーラーや家具や生ハムづくりの話まで紹介されています。


奥村設計所は昔から住宅作品の雑誌発表にはあまり積極的ではなく、特にここ20年くらいは住宅建築97年7月号、住宅建築別冊OMソーラーの家1~3くらいにしか発表していないのではないでしょうか。今回の4件の家の発表はとても貴重で興味深い1冊となりそうです。


この4件の中では「国立市の家 トモス実験ハウス」のみ竣工時に見学させていただきました。奥村先生と2人3脚でOMソーラーのハンドリングボックスを作られ、その後「そよ風」を開発されたトモス・友さんのご自宅です。
この家の外壁には波型スレートが使われていますが、今思い返すとこの家が竣工した98年頃僕らのまわりで外壁に波型スレートを使ってみることがにわかに流行っていたような気がします。僕も石田事務所在籍時の98年に河辺の家で波型スレートの外壁に挑戦していました。その後の地球のたまご(OMソーラー社屋)の外壁に波型スレートを使ったのもその流れがあったからではないかと思います。
もともとは1950年代の名作小住宅、広瀬鎌二さんや池辺陽さんらがそのチープシックな材料を巧みに用いて魅力的な設計をされていたことを思い出しますが、吉村順三さんも波型スレートをラワンベニヤやコンクリートブロックなどと同じように好んで使われていました。
トモス実験ハウスを当時見学して驚いたのは、奥村先生は波型スレートを目透し張りにしていたことでした。波型スレートは一般的な納まりとしては横方向も縦方向も重ねることで雨仕舞いをするわけですが、重なってスレートの厚みが出てきてしまうのを嫌った奥村先生はジョイント部ににガルバリウム鋼板の水切を入れて目地をとり、少し透かして張ることでフラットなものとして扱っていて、それが新鮮な印象を受けました。
僕としてはスレートが重なっていることで醸し出すチープな感じ、バラック的な感じが割りと嫌いでなく、地球のたまごが竣工して奥村先生が見に来られた時にスレートのジョイント部のこだわりについて、少しだけ議論させていただいたことが印象に残っています。
まだ全部読みきれていませんが、僕の好きな内容が盛りだくさんの1冊です。
4/2(火)の「奥村昭雄さんを思い出す会」の予習にぴったりではないかと思います。

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